cmc インスツルメンツで開発した革新的なセンサーシステム
cmc インスツルメンツアジア株式会社

今後のオイル監視システム

オイル監視システムについてcmcインスツルメンツのオイルセンサーを紹介してきました。

このオイルセンサーの最大の特徴は、電気伝導率、比誘電率、温度を正確に計測することと、これを温度補償した電気伝導率と比誘電率をcmc独自技術により正確に算出することです。

このオイルセンサーで計測するデータは正確に導かれるため、オイルの初期データ(通常新油データを使います)を出発点とし、温度補償された電気伝導率と比誘電率のデータ追跡を正確に行うことができます。

ここで、大切なことは、精度の高いオイルセンサーをお客様の油入機械に設置することで、オフライン分析に匹敵するデータが現場でしかも連続的に計測できることになります。

  • 次の分析が可能です(その他の分析項目も評価中で今後さらに増えていくでしょう)
    • 温度
    • 誘電正接(損失係数)
    • 破壊電圧までの部分放電からのさまざまな放電現象を確認
    • 水分量およびその増減推移
    • 添加剤の消耗度推移(全塩基価)
    • 酸化の進行推移(全酸価)
    • 摩耗粉の発生からその増加(減少)推移
    • 水分、摩耗粉以外のコンタミ(燃料、クーラント、煤、その他の潤滑油など)の混入
    • 機械の過負荷運転状態の推移
  • その他の特性
    • 粘度
    • 引火点
    • 摩耗粉の解析(元素分析)
    • 摩耗粉の粒径分布(NAS等級)、摩耗粉の数分布
    • 摩耗粉の形状解析による摩耗形態
    • 添加剤の解析(元素分析)
    • コンタミの種類の識別明確化、混入量推定

当社オイルセンサーが取得できないデータは他のセンサーと組み合わせることでさらに多くの分析項目もカバーします。

当社はcmcオイルセンサーと提携パートナーのオイルセンサーを組み合わせ、オフライン分析装置と比較して遜色のないオンライン分析装置開発にも取り組んでいます。また、オイルセンサーの小型軽量化にも取り組み、お客様の大切な機械に簡単に取り付け可能な装置の開発にもチャレンジしています。

今後、当社が発売するオイル監視システムは、用途別の統合型オイルセンサーシステムで、オイル中に起きるさまざまな現象をAIにデータ認識させ、各項目の経時変化の変動パターンをしっかりAIに学習させ機械のトラブルを予測しその対策案をお客様に知らせるシステムが開発されるでしょう。

また、小型軽量化されたセンサーは、工場で稼働するタービン、コンプレッサー、油圧作動装置、ギヤボックス、変圧器などに設置されるのはもちろん、自動車、宇宙ロケット、飛行機、船舶、鉄道などのモビリティ分野のセンサーとしても使用され標準化されていくでしょう。

なお、ドイツcmcでは大手自動車メーカからの委託を受けEVの開発段階で、モーターおよびバッテリー内のオイル分析を請け負う研究協力もさせていただいています。cmcの正確な計測データを時系列で連続監視する技術がここでも活躍しています。

また、オイルの劣化生成物や摩耗粉の発生、コンタミの混入等避けられない物質は必ずオイル内に発生してきます。これを、発生当初から除いてしまう優秀なろ過装置とセット化することもできます。当社には用途に合わせ力を発揮する浄油システムも取り扱っていますので、お客様の要望に応じた浄油機能付きオンラインオイルセンサーの供給も可能です。

オイルには、添加剤の消耗、基油の酸化、摩耗粉・水・燃料などの低粘度液等コンタミの混入などオイルの性状変化により機械のトラブルを引き起こす多くの因子が集まります。この複雑な系の個別の変動を同時に解析することも可能ですが、できるだけ限られた因子に絞りデータを解析することが特に重要になります。浄油機はその大切な役割を演じます。

浄油機は、オイルの酸化劣化を促進する上述のコンタミ類を取り除きます。

オフラインの酸化試験は酸化を加速させる因子を加えその各オイルの酸化のしやすさを評価する試験ですが、上述のコンタミ以外にオイルの温度上昇が酸化劣化を促進します。

熱の発生源(例えば過負荷運転の頻度が上がるなど)を抑制すれば酸化劣化を確実に抑えることができます。しかしながらオイルに溶けている添加剤は確実に消耗していきます。当社のオイルセンサーは添加剤の残存量から添加剤寿命を推定しオイル交換するタイミングを正確に予測します。

このようにオイルセンサーでオイルおよび機械の状態を把握しながら、浄油機で酸化劣化に影響する物質を取り除いていくことができれば、潤滑系統でトラブルを起こさせないシステムにすることができます。。

オイルセンサーが十分機能すれば、従来のオフライン分析は頻度と項目を減らすことができます。

より精密な分析項目だけに絞ってもいいかもしれません。

最後になりますが、オンラインで基本になる複素インピーダンス(電気伝導率、比誘電率など)のデータを連続的に正確に取得することが重要だと説明して参りました。これこそcmcのオイルセンサーが持つ機能であります。

これからのオイルセンサーは、オイル中に発生する現象をこの複素インピーダンスのデータを繰り返し取得し、この集積されたデータを優秀なAIが学習します。

潤滑系統のトラブルとなる要因の発生からさまざまなパターンを経て最終的に機械は故障します。この一連の現象をAIはパターン認識していくことで、お客様の大切な機械に起きている現象を早期に発見し、その対策案を示すことができるようになります。このオンライン監視システムは正にインダストリー4.0が作り出した結晶のようなものです。

 メンテナンスコストの削減はもとより、メンテナンスに関わる人件費、機械のロングライフ化が図れることはもちろんのこと、機械のダウンタイムの最小化による生産効率の最大化が図れれば、計り知れない会社への貢献ができるのではないでしょうか。

 私たちcmcインスツルメンツアジアおよびGESインテリジェンステクノロジーは、50年以上続いた定期的オフライン分析の頻度と項目数を最小化し、現場で正確なデータ解析によりお客様の大切な機械を守るために立ち上がりました。

 オイルは産業の血液と言われています。私たちはその血液を健全に保ち、お客様の機械が故障しない環境づくりに貢献できるようシステム開発に取り組んでまいります。